記事一覧

神戸新聞、正平調書き写し

4月にドラマが始まってから小欄に
も何度か登場してもらったが、今日
こそ触れないわけにはいかない。N
HK連続テレビ小説「虎に翼」の主
人公、寅子(ともこ)のモデルになった三淵嘉
子(みぶちよしこ)さんである◆女性初の弁護士、家庭裁判
所の母・・・と日本で女性の社会進出を先導し
たが、世界に最も影響を与えたのはアメリ
カの原爆投下を「国際法違反」と断じた原
爆裁判だろう◆原爆の違法性を問う世界初
の裁判は、終戦から10年後の1955年に
提起された。原告は、広島と長崎で家族の
ほとんどを奪われた被爆者5人。うち1人
は広島で被爆し、戦後は宝塚市で暮らした
岩渕文治さん◆被告は、サンフランシスコ
講和条約で米国への賠償請求権を放棄して
いた日本政府だ。その政府が「戦争終結を
早め、両国の人命殺傷を防いだ」と、原爆
投下を容認するかのような主張をする中で
の裁判だった◆理由は二つ。その無差別性
と残虐性である。戦闘員ではない市民を巻
き込み、放射能は一生、体をむしばむ。判
決の理念は被爆者援護法や核兵器禁止条約
につながった◆この8年間にわたる裁判で
裁判官3人のうちすべての口頭弁論に参加
したのが三淵さんだった。判決にどんな思
いを込めたか、彼女は何も語っていない。
ただ法の力を信じたのだろう。 2024・8・6

神戸新聞、正平調書き写し 末尾にちょっと我がコラム

人間には暑さに強いタイプと寒さに
強いタイプがいるらしい。わが職場
で昨日、たまたま周囲にいた人に聞
いてみると、夏派は3人、冬派は4
人だった。みなさんの周りはどうだ
ろう◆断然夏派の筆者にとって、寒くなる
と穴ぐらや土の中で冬眠するクマやカエル
はあこがれの的だったが、最近は違う。今
うらやましいのはイカナゴだ。夏の間、ふ
かふかの砂のベットにもぐり込み、眠り続
ける◆瀬戸内に春を告げる「くぎ煮」で知
られるイカナゴは、水温が20度を超える7
月上旬から12月ごろまで夏眠(かみん)に入る。その
間、じっと動かずに代謝を抑え、餌もとら
ない◆夏眠の理由ははっきりしないが、大
事な産卵期を前に外敵から身を守り、体力
を温存しているようだ。漁獲量の急減に危
機感を抱いた地元漁協は今年、夏眠前のイ
カナゴに初めて大量の餌をまいた。長い夏
休みを元気に乗り越えるための支援物資で
ある◆ならば連夜、冷房の効いた部屋でせ
んべいをかじり、寝転んでパリ五輪を観戦
中の自分はイカナゴとそれほど変わらない
かも◆各競技の決勝は日本時間で深夜から
未明になるから、時差ボケのようなだるさ
を抱えたまま仕事をしている人は多いだろ
う。深く自省しつつ、空前のメダルラッシ
ュにテレビから目が離せない。2024・7・31

ちょっと我がコラム
イカナゴの夏は砂の中で眠るって事、知らなかった、春を告げる
姫路の名産「イカナゴのくぎ煮」は凄く有名なんだけど私はチョット苦手だ、値段も高すぎるし何か泥の匂いが生臭く感じる、そうなんだ、夏眠する砂の布団が原因なんだ、その匂いが体に付いてしまってるのかな?

神戸新聞、コラム正平調書き写し、末尾に我が追憶コラム

1910(明治43)年4月、山口県
沖で演習していた海軍の潜水艇が沈
没した。捜索は難航し、翌々日に引
き揚げられたが、艇内は満水で乗組
員14人全員が死亡していた◆操艦ミ
スによる事故を美談に変えたのは、艇内で
見つかった艇長の遺書だった。最後まで職
務を全うした乗組員の沈着ぶりが記され、
国内外から称賛を受けた◆この「6号潜水
艇」は神戸市の川崎造船所(現・川崎重工
業)が採算度返視で建造した国産第一号だ
った。遺書で艇長は「これの誤りもって将
来潜水艇の発展に打撃をあたうるに至らざ
るや」と憂えた。打撃どころか、日本の潜
水艦は乗組員の規律の高さによって評価を
高め、川崎は潜水艦建造を続けた◆戦後も
再び潜水艦建造を受注してきた川重が、潜
水艦乗組員に便宜を供与してきたことが明
らかになった。架空取引で十数億円の裏金
を捻出し、飲食代や商品券、生活用品、工
具などを提供していたという◆明治海運は
美談を吹聴して当時の軍拡反対世論に対抗
したといわれる。かたや防衛費が膨張を続
け、海上自衛隊の不祥事が相次ぐ今、国民
の視線は厳しい◆なれ合いに染まった後輩
の不始末を、先人も嘆いていよう。神戸ゆ
かりの潜水艦建造の闇を払うため、防衛省
には厳正な対応を望みたい。 2024・7・28

ちょっと我がコラム
私の兄が中学校を卒業後直ぐ川崎重工に就職した、母は14・5歳の男子を連れて戦後の神戸はガレキの山、家も何もない、焼け野原の中を会社まで連れて行ったらしい、ガレキの中でコモや、ムシロを囲いにし、七輪で煮炊きしていたと言っていた、神戸の街の中では、ムシロなどは手に入れる事はとても困難、会社にも少し慣れた頃、今日は進水式やといって少しマシな服なんか着て行ってた、それは潜水艦だったのか?私は旅客船か遊覧船だと思ってた、そんな中、世間は物不足当たり前、月に一回ぐらいだったかしら?会社の誰かさんに貰ったと、クジラの皮を持ち帰ってくれてた、今考えたら約3Kぐらいの絡まりだった様に思う外側は真っ黒で車のゴムのタイヤみたいな内側に白い油の層がタイヤと油で10cm位の厚さだったかな?7・8歳位だったので大きさは違ってるかも?それは大層なごちそうに思えて嬉しかった、今其の事を聞きたくても母も兄もこの世には・・・あれって貰ってはいけないものだったのか?

神戸新聞、コラム正平調書き写し

前例がなく理解不能な事件が起きた
とき、まず考える。これは「例外」
的か、あるいは「象徴」的な事件な
のか。例外的なら社会が学ぶことは
少なく、象徴的であれば教訓に満ち
ている◆七夕決戦と呼ばれた東京都知事選
は驚くことの連続だったが、さすがに首都
の舵(かじ)取りを選ぶ選挙だけあって今後の教訓
に満ちていた。数日たち、冷めた頭でそう
考える◆56人もが立候補し、そもそも知事
になる見識も覚悟もない人の売名行為が多
くあったことはここでは置く。今回、時代
の象徴と呼べそうなのは「石丸ショック」
だろう◆既存政党を批判し、ネットを駆使
して支持を広げた若き改革者ーこれが今の
ところの石丸伸二氏の評価だが、気になる
のは同じ日にあった "古巣〟の安芸高田市
長選で石丸氏の政治手法を批判した新人が
当選したことだ。「分断はうんざり」と地
元の声◆古巣での4年近くは市議会と激し
くやり合う動画をSNSで拡散し、全国的
な知名度をあげた。対立を先鋭化して注目
を集める「論破政治」に嫌気がさしたーと
も映る◆「民主主義とはゆっくり機能する
ものです。テキパキやりたいなら独裁主義
にしないとねェ」と永六輔さんの無名人語
録にある。説得と納得をおろそかにしても
ネットは瞬時にスターを作る。 2024・7・11

神戸新聞、コラム正平調書き写し

フランス革命の夜のこと。オースト
ラリアに逃亡しようとした国王ルイ16
世と王妃マリー・アントワネットは
国境付近であっさり見つかった。ぬ
かりなく変装していたはずなのに、
なぜ◆理由は国王にも思いがけなかったか
もしれない。フランスの紙幣に印刷された
自分の肖像画が隅々まで知れ渡っていたの
だ。有名なヴァレンヌ事件のエピソードで
ある◆世界各地のお札に肖像画が描かれて
いるのは、愛国心を高め、国の歴史に親し
むためでもあるが、それ以上に大きな理由
は偽造防止にある。人の顔を見分け、少し
の違いにも気づく人間の能力は、それほど
高い◆慣れ親しんだお札の顔がきょうから
新メンバーに代わる。子供の頃、歴史の
本で見た記憶しかない3人だから偽造に気
づくには時間がいるが、最先端の偽造防止
技術が駆使されているそうだから、今や人
の目はあまり期待されていないのかもしれ
ない◆カードや電子マネーで支払いをする
人が増え、お札の出番はいずれなくなるー
そう心配していたら、日銀神戸支店長に就
任した別所昌樹さんが面白いことを言って
いた◆その場で支払いが完了し、停電や通
信障害の影響もない。だから「紙対応は神
対応」と。渋沢さん、津田さん、北里さん
とも長い付き合いになるかな。2024・7・3

神戸新聞、コラム正平調書き写し 末尾に我がコラムURL記入

プラスチックのお皿に盛られたのは
スプーン1杯分のおかずと少しのご
はんだけ。内部告発された園児の給
食の写真に驚き、「あんまりだ」と
怒りの声が全国に広がった。7年前
に姫路市の市立認定こども園で起きた補助
金の不正受給事件を覚えている人は多いだ
ろう◆食費を削る。職員を水増しする。市
に虚偽の申請をする。そんなことができた
のは「ものいわぬ」幼い園児と、預け先の
ない保護者の弱みを人質にしていたからで
ある◆食事は数切れの魚肉ソーセージとも
やしの炒め物、茶わん1杯のごはん...。愛
知県内を中心に障害者のグループホームを
運営する福祉サービス会社「恵めぐみ」が事業者
の指定を取り消されたのも構図は同じ。手
厚い補助金を"追い風〟に事業を急拡大さ
せた◆職員数や勤務時間の水増しも次々発
覚した。利用者を「ものいわぬ」存在と見
くびっていたのなら、福祉に関わる資格は
ない◆急拡大の背景には、かって隔離され
ていた障碍者施設を地域に移しともに暮ら
す社会を目指す国の政策がある。私たちが
時間をかけて積み上げた理想が踏みにじら
れた◆山の隔離施設に何十年も暮らしてい
た人に聞いたことがある。地域の中で住み
たいですか?「山いっぱいより人いっぱ
い」。明るい声がよみがえる。2024・6・29

↓は、以前私が日記に書いた物上から4つ目にタイトル5分報道カメラマン
https://torebi.sakura.ne.jp/cgi-bin/diarypro228/diary.cgi?page=7

神戸新聞、コラム正平調書き写し

会社への道すがら、いつも楽しみに
している小学校の花壇がある。一年
を通じて季節の花を楽しませてくれ
るのだが、今年のアジサイはふびん
で仕方がない。この季節、青と赤の
みずみずしい濃淡を描く花たちが、どこか
くすんでいる◆何しろこの暑さだ。まだ梅
雨に入ってすらいないのに、梅雨明けのよ
うな気温が続く。「暑いよ~、のどが渇い
たよ~」と、アジサイのうめき声が聞こえ
てくるような◆きのうは朝来市の和田山町
で35度以上の猛暑日となり、豊岡、西脇、
姫路、神戸、洲本など兵庫県内の各地を含
め30度以上の真夏日は全国400カ所に迫
った。まちを歩けば、雨傘の前に日傘の花
が咲いている◆近畿の梅雨入りは例年なら
6月6日ごろ。昨年は早めで5月29日ごろ
だった。今年は、梅雨前線が北上する今週
末が梅雨入りのタイミングーと気象庁は週
のはじめに予想していたのだが、それもず
れ込むらしい◆心配なのが熱中症だ。まだ
夏の準備をしていない人もいるだろう。わ
が家は昨晩、全員が布団を蹴っていた。6
月は例年、蒸し暑さに注意だが、今年は
高温に警戒を◆〈あぢさいや一かたまりの
露の音〉(正岡子規)。雨にぬれたアジサ
イは色っぽく、水滴を抱くとつややかに光
る。そんな景色を早く見たい。2024・6・15