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神戸新聞、コラム正平調書き写し

日本の民話の一つに「三年寝太郎」
がある。3年間、ごろごろ寝てばか
りの男がある日むっくり起き上がる
と、水不足に悩む村の水利問題を解
決するーというあらすじはどこも同
じだが、全国にいくつもバリエーションが
ある◆その一つが山口県の厚狭(あさ)地区に伝わ
る物語だ。怠け者の息子が父に頼んで船を
作らせた。その船にたくさんのわらじを積
んで向かった先は佐渡金山。古いわらじと
新しいのを「ただで換えてやる」と触れ回
った◆40日後、息子は村に戻り、大きなお
けでわらじを洗うと、おけの底には砂金の
山が。そのお金で用水路を作り、村の荒れ
地は水田に変わったとさ。めでたし、めで
たし◆と、簡単にはいかないのが歴史問題
である。先日、佐渡金山であった全労働者
のための追悼行事で韓国側が参加を見合わ
せた◆もともと佐渡金山の世界文化遺産登
録に「強制労働被害の現場だ」と韓国側は
反対だった。その相違を話し合いで乗り越
えてきたのだが、根深い不信感は消えてい
ない。薄氷を踏む慎重さが日本にはあった
のか◆歴史の見方には両面があり、のどに
刺さったとげは簡単には抜けない。それで
もなんとか世界文化遺産の登録にこぎつけ
た。お互いが納得できる道はないものか。
時間をかけて向き合いたい。2024・11・27

神戸新聞、コラム正平調書き写し

戦後すぐに次々起きた、若者による
犯罪の一つに「日大ギャング事件」
がある。19歳の少年が恋人との駆け
落ち資金を稼ごうと、日大職員の給
与を強奪した。逮捕される時に言っ
たのが「オー、ミステーク!」◆今、ミス
テークを重ねて凶悪犯罪に加担してしまっ
た若者の後悔が報じられるのは、首都圏で
連続する強盗事件である。交流サイト(S
NS)を通して、安全で高額報酬をうたう
バイトに応募したら…◆個人情報を握られ
逃げたら殺すぞ、家族も無事ではいられな
いぞと脅された挙句、民家に押し入り、
人の命を奪ってしまった。最後は使い捨て
である◆逮捕者の中に、滞納した税金を
払うためと動機を供述している容疑者がい
るが、法を守る気があるのか、ないのか、
警察庁は闇バイトに応じた若者に対して、
責任を持って身の安全を守るので犯罪に手
を染める前に通報を、と呼びかける◆指示
役は通信アプリで、実行役に指令を伝えて
いる。現場にいないからか、手口が荒っぽ
い。カギがかかっていようがいまいが、お
かまいなしに窓をたたき割って侵入し、住
人を殴って蹴って、拉致して脅す◆強盗を
重ねる主人公の破滅を描いた映画のタイト
ルのごとく、犯罪者に「俺たちに明日はな
い」と痛感させる操作を望む。2024‣10‣23

神戸新聞、正平調書き写し 末尾にチョット我がコラム 

9回特攻に出撃して、9回とも生き
て帰ってきた人がいる。「体当たり
しろ」「必ず死んで来い!」。そう
命令する上官にあらがい、敵艦に爆
弾を落として帰還した。佐々木友次(ともじ)
さん、当時21歳◆特攻とは飛行機ごと、あ
るいは人間魚雷となって敵に突撃する決死
の攻撃のこと。なのになぜ、そんなことが
できたのか。上官や周囲は何と言ったか。
だれもが抱く疑問に迫ったのが作家の鴻上
尚史さんである◆佐々木さんは、陸軍の最
初の特攻隊「万朶(ばんだ)隊」に選ばれた名パイ
ロットだった。2017年に出版された「不
死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗した
か」(講談社現代新書)に印象的なやりと
りが書いてある◆技術の高いパイロットほ
ど一撃一死の特攻は無駄だと考えていた。
万朶隊の隊長自身がそうだったと文献や証
言で明らかにしている。佐々木さんは言っ
た。「死ななくてもいいと思います。その
代わり、死ぬまで何度でも行って、爆弾を
命中させます」◆そして終戦。すでに特攻
で散ったとされ、実家の北海道で盛大な葬
儀も済んでいた佐々木さんは、ひっそりと
92歳まで生きた◆79回目の終戦の日が巡り
来た。死を命じられてなお自分を貫いた人
がいる。国家とは、個人とは、佐々木さん
から学ぶことはあまりにも多い。2024.8.15

ちょっと我がコラム
この記事、涙なくして読めない、戦争現場のむごたらしさ、国の政策、上下関係、肉親関係、周囲との交わり、自身の判断力も想定しながらいかに生きるか?・・・本当に戦争って駄目駄目駄目XXXXX

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