記事一覧

神戸新聞、コラム正平調書き写し

ブリ、タラ、甘エビに越前ガニ。格
別なのは雌のこうばくガニで、地元
に行かねば味わえない。「北陸時の
冬」という一遍で、好物を書き連ね
ていくのは文芸評論家の山本健吉さ
ん。母の里が金沢だった◆「北陸の冬は雪
景色もさることながら、おいしいものが集
中的に現れる季節である」。職は北陸にあ
り。それを象徴するのが各地の市だった。
能登半島の地震で焼けた輪島の朝市もその一
つ◆「こうてくだ、こうてくだ。ぶりと
かにと たこと いか/とれたてやぞ」。
おばちゃんたちの声とおしゃべりが飛び交
う光景を描いた絵本「あさいち」(福温館
書店)が今月、復刊された◆「こぬかいわ
しどうねー」。新鮮な魚に干物、塩やぬか
に漬けた食材が並ぶ。「ほんとの じねん
じょやぞ」。山の幸に畑で採れた野菜も。
水彩の絵を見ていると、にぎやかなやりと
りが聞こえてきそう◆明日23日、金沢市で
「出張輪島朝市」が始まる。営業するのは
まだ一部だが、「輪島での復活まで朝市の
灯を消さない」との決意が伝えられる。最
初の一歩、でも大きな一歩◆絵本が描かれ
た1970年代、市場は社交場で、地元の
人は「市の風に当たりに行く」と言って出
かけたとか。ボランティアに観光に。能登
の風に当たりに行きませんか。2024・3・22

神戸新聞、コラム正平調書き写し

春はセンバツとともにやって来る。
♪ああ甲子園 草の芽 萌(も)え立ち―
淡路島出身の阿久悠さんが作詞した
大会歌「今ありて」が聞きたくて、
第96回選抜高校野球大会の開会式を
のぞいた◆球場に入ると「甲子園の土」が
入った記念キーホルダーを貰った。今年
はセンバツが始まって100年、甲子園球
場の完成から100年の節目だ。甲子園の
土といえば、選手しか持ち帰ることができ
ない憧れの土。球児の仲間入りをした気分
になった◆若い生命がはじけるような行進
を外野席から眺めながら、大正、昭和、平
成、令和の名勝負が頭をよぎる。つらいコ
ロナ過をへて、スタンドのにぎやかな応援
も戻った◆なんといってもセンバツの魅力
は、その名の通り「選抜方式」にある。能
登半島地震があった石川県輪島市からは日
本航空石川が選ばれた。神戸出身の中村隆
監督は、小4で阪神・淡路大震災も経験し
たそうだ◆「能登に元気を届けたい」。監
督や選手たちのそんな意気込みを聞けば、
センバツ出場23回目の伝統校、地元・兵庫
の報徳学園に負けないぐらいの声援を送り
たくなる◆選手宣誓は「今ありて」の歌詞
が引用されていた。初日は二つの延長戦な
ど好ゲームの連続。それはいいが、甲子園
の風の冷たさよ。春よ、来い。 2024.3.19

ちょっと我がコラム
日本航空石川が選抜方式で選ばれた・・・
「神戸出身の中村隆監督は、小4で阪神・淡路大震災も経験したそうだ」、私思うに再度大災害に遭う人が割とあるんだなぁと思った、色んな所で度々耳にする、この方も阪神淡路大災害に遭われてこの度の能登半島大地震、人間生きてる間に一度有るか、無いかの事だと思うのだが、何故なのかなぁ~~

疑問解消!!

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コラム記事、正平調を書いているのはどんな方だろう
以前から気になっていた事が今朝の新聞折り込みに
現在は林芳樹さん、この方が正平調を執筆されてて
正平調の本が出版されるらしい本の売り込みだ、私は
新聞でパソコンで節約ぶりの発揮(笑)
その折り込みをここに張り付けちゃおう

コピー機でスキャンが上手く保存できない、
ワンドライブにしか保存できないのか??ようわからん
で、今までと同じ方法で、カメラで写して

神戸新聞、コラム正平調書き写し

阪神は今年もやれるか。オリックス
のエースは誰なのか。三寒四温
で春が近づく3月。プロ野球も29日
の開幕に向けてオープン戦が続き、
ファンの期待も膨らむ◆シーズンオ
フに発注したグラブをキャンプで使ってみ
た選手から、新たな注文がメーカーに届く
時期でもある。宍粟市の山あいにたたずむ
ミズノテクニクス波賀工場も、毎年1~3
月ごろに生産のピークを迎える◆守備の名
手をたたえるゴールデン・グラブ賞に輝い
た阪神の大山悠輔選手、広島の菊池涼介選
手らが使うグラブもここで作る。「グラブ
マイスター」として職人集団の頂点に立つ
岸本耕作さんは、イチローさんのグラブも
手がけた◆不便な立地に思えるが、中国道
に比較的近い上、革の産地である姫路、た
つの市に接するなど利点も多いという◆ミ
シンやプレス機などの音が響く工場内は、
工程ごとに分かれている。細かい注文用紙
に沿って茶色や赤、黄色など色とりどりの
革を機械で切断し、縫い合わせ、ひもを通
す◆「(グラブが)へたれてくると『顔』
が悪くなってくる。『顔』のバランスがす
ごく大事」。工場を訪ねたイチローさんの
言葉だ。素手に近い感覚で。一部を動かな
くして。選手の独特な感性に応えミリ単位
で整える技がプレーを支える。2024・3・10

神戸新聞、コラム正平調書き写し

「平和とは、日常の生活が続けられ
ること」と書くのは、世界各地の戦
場を取材してきた報道写真家の石川
文洋さんだ。2月、能登半島の被災
地を訪れた際の記事をこう結んでい
る。「(能登には)日常の生活がない、つ
まり平和がない」◆能登で地震が起きて2
カ月になる。場所によって違うのだろうが
発生1週間、1カ月、現在と被災地から届
く写真を見比べても、ほとんど変わりがな
い。日常の生活が戻る気配がない。どうし
たことか◆崩れた家もゆがんだ道路もその
ままのところが多い。きょうの朝刊23面の
記事では、現地を訪れた本紙記者が「2カ
月、ただ日が過ぎただけやった」という肉
声を伝える◆阪神・淡路から2カ月の頃は
つち音が響いていた。鉄道が少しずつ動き
出し、仮設店舗で商いが始まる。紙面では
こんな見出しも。「ボランティア、延べ1
00万人」◆あまりの多さに混乱もあった
ものの次第に現場で調整が進んだ。そして
いろんなアイデァが生まれる。足湯がそう
傾聴ボランティアがそう。片付けや炊き出
しだけでなく、ゆっくり話を聞くことが心
のケアに大事と気付かされた◆もっと人を
被災地へ。「能登はやさしや土までも」。
復旧、復興、何より心根のやさしい人たち
を「心災」から救うために。 2024・3・1

神戸新聞、正平調書き写し

米国の心理学者が2008年に著し
た「だまされやすさの年代史」は、
「私たちがだまされる理由を考察し
た最初の本」と紹介される。その最
終章は「人は年を重ねて賢くなるに
つれてだまされにくくなる」と説く◆だが
その考察は今の日本を覆う現実とは異なる
ようだ。昨年、兵庫県内の特殊詐欺被害は
過去最多の1224件、被害総額はやく19億
9千万円(いずれも暫定値)に上った。被
害者の多くは高齢者だ◆ちなみに「だまさ
れやすさー」の著者自身も刊行と同時期に
巨額の投資詐欺被害に遭った。どんな知識
も経験も、手の込んだ虚構にいとも簡単に
すり抜けられてしまう◆手口は広く知れ渡
っているのに、被害は後を絶たない。常に
だまされる可能性があると認め、非通知の
番号には応答しない。常時留守番電話に設
定する、必ず誰かに相談するーなどの対応
を強くお勧めする◆警察は瀬戸際で送金を
食い止める「水際対策」を強化するが、詐
欺の手口は進化を続ける。今後はAI(人
工知能)を使ったフェイクの音声や画像に
よるなりすましにも警戒が必要だ◆特殊詐
欺がはびこる根底には、テクノロジーずく
めで複雑化した社会に生きる人間の孤独と
不安があると感じる。人間の弱さに付け込
む特殊詐欺との闘いは続く。 2024・2・25

神戸新聞、正平調書き写し

春の到来を待ちわびている人なら、
それぞれの“目印〟を持っているだ
ろう。わが家の場合は鉢植えの木瓜(ぼけ)
である。一日に少ししか日が当たら
ない場所にあるから、育ちはゆっく
りマイペース◆それでも固く縮んでいた茶
色のつぼみが急にグリーンピースのような
淡い緑にふくらんだかと思うと、先日、朱
色の花が一気に開いた。ああ、今年もお変
わりなく。自然の摂理に従うまじめさに感
謝の念がわく◆播磨の海沿いに暮らす人な
らイカナゴのシンコ(稚魚)を炊く甘辛い
香りが春を告げる印ではなかろうか。鼻先
につんと蘇(よみがえ)る◆きのうの本紙朝刊を読んで
悲しい気持ちになった。1面トップは「淡
路島ノリ5500万枚廃棄」、その下には
「シンコ不漁『最も厳しい』」。春を迎え
る高揚感に水を差されたような。収穫の最
盛期だったノリ廃棄の原因は、漂流してい
た黒い油の塊だ。生産者の無念を思うと胸
がはりさける◆シンコの不漁予測は8年連
続。例年なら2月末ごろに解禁されるシン
コ漁の短縮は確実だろう。「きれいな海」
から栄養豊富な「豊かな海」へ、地道な努
力はまだ途上◆〈くぎに炊く祖母の大鍋春
来たる〉(阿曽宏之)。ふるさとを離れた
子や孫、全国の知人に送る人は多い。待ち
わびている人が今年もきっと。2024・2・21