!!終戦特集!! 8月17日投稿文
子供の頃の戦争体験談や暮らしぶり等を後世に伝える企画
タイトル ◆ 引き上げてよく生き延びた ◆
田中 栄一 90歳(自営業 西宮市)
私は終戦時、満州国奉天
市で国民学校6年生。住民
やロシア兵の昼夜を問わな
い略称や暴動のため、危険
だからと家へ閉じこもりの
状態が何か月か続き、明く
る年の3月、私たちにも形
ばかりの卒業式がやって来
た。七十余人いた同級生で
集まったのは12~13人と少
なく、受け持ちの先生から
ガリ版刷りの卒業証書が渡
された。涙まじりに先生が
言われた「どんな時でも、
どんなことがあっても、日
本人としての誇りを忘れる
な」の言葉が、卒業生に贈
られたはなむけだった。
その年の6月初め、南満
のコロ島という港から引き
揚げ船で博多港に上陸。故
国の土が踏めた。博多駅前
でその時、引き揚げ援護会
のおばさんから、大きなか
やくご飯のおむすびをいた
だいた。船の中では重湯の
ような食事だったので、と
てもおいしかったのを今で
も忘れられない。家族6人、
家もお金もないのをよく生
き延びたと今思うと感無量
だ。まわりの人々のおかげ
だと感謝している。