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神戸新聞、オピニオン発言欄

!!終戦特集!! 8月16日投稿文
子供の頃の戦争体験談や暮らしぶり等を後世に伝える企画
タイトル ◆ 子や孫にどう伝えるか ◆
 加古 久美子 68歳(主婦 神戸市西区)

 戦争と戦後生まれの私とを結ぶ接
点は、亡き母と何度も参加した「陸
軍歩兵部隊合同慰霊祭」でした。
 学徒動員で招集された父は激戦の
ビルマ(現ミヤンマー)に派兵され
ました。終戦になり、過酷な引き揚
げ船では「梅肉エキス」をわずかず
つ口に含み、生還したそうです。
 父は、異国の山野で戦死した戦友
たちの供養のため、毎年慰霊祭に参
加しましたが、私が14歳の時に病気
で亡くなりました。父の御霊(みたま)も慰霊
者名簿に合祀(ごうし)してくださいました。
 母は「悲惨なことは思い出したく
ない」と戦争についてあまり話して
くれませんでしたが、住んでいた明
石の街にも焼夷(しようい)弾が落とされ、疎
開先の神戸市西区でヤギや鶏を飼っ
て食料の足しにしていたことなどは
聞いたことがあります。戦争につい
て子や孫の世代にどう伝えていけば
よいのか悩むところです。