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神戸新聞、オピニオン発言欄

!!終戦特集!! 8月15日投稿文
子供の頃の戦争体験談や暮らしぶり等を後世に伝える企画
タイトル ◆ 敗戦を経て民主国家へ ◆
廣川 恵一 87歳(無職  神戸市北区)

 終戦の前年、神戸から山口県東部
の周防大島北岸の集落へ、小学2年
生の夏移住した。島とはいえ、南の
豊後水道と50㌔北の広島市や軍港の
呉市を結ぶ位置にあり、日夜サイレ
ンの音におびえていた。
 翌年になると授業がほとんどなく
なり、繊維となる桑や葛の皮むき、
出征農家の手伝い、畑と化した校庭
の作物への水やりなど、勤労奉仕は
茶飯事となっていたが、戦況は悪化
の一途をたどり、本土決戦に備え、
子供だましの竹やり訓練や防火訓
練に汗を流す日が続いた。
 あの日の朝、B29が北上。程なく
広島の上空が薄暗くなり、ラジオが
「広島に新型爆弾投下」と報じた。
世界初の原爆投下である。間もなく
日本はポツダム宣言を受け入れ、戦
争は終わった。民主主義や民主化な
どの言葉が頻繫に使われるようにな
り、新生日本が歩み始めた。