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神戸新聞、コラム正平調書き写し

俳優の高橋英樹さんは役作りの必要
性から、歴史や城に興味を持つよう
になったそうだ。昨年秋に朝来市で
開かれた全国山城サミットの記念対
談に登場し、城への愛をたっぷりと
語っていた◆特に石垣の魅力を「その上に
あった城を想像するのが良い。何もないと
ころが最高」と話し、「よくわからないま
ま天守や櫓(やぐら)を造らないで」と求めた◆この
苦言に思い浮かんだのが洲本城。豊臣時代
に築かれた石垣の上に、竜宮城のような天
守がちょこんと立つ。鉄筋コンクリート造
りで、かっての建築を復元したものではな
い◆だがこの天守、昭和天皇の即位を記念
して1928(昭和3)年に建てられたも
ので、現存の模擬天守としては日本最古と
いう。100年近い歴史があり、今では風
景に溶け込んでいる◆「桃太郎侍」など数
多くの時代劇に出演してきた高橋さんは今
までに7万人も斬ったそうだ。数えてくれ
ている人がいるといい「斬られ役がうまい
ほど主役が映える」とも◆石垣を「大きな
石、小さな石、どの石がなくても成立しな
い。人間社会そのもの」と表現したのは、
俳優人生で得た哲学なのだろう。大型連休
はまだ序盤。近場で済ませるのなら、あま
たある兵庫の城跡巡りはいかが?石垣の
上の建物の有無は、お好みで。2024・4・28