この国は「贈答社会」と言われる。
ならば贈り物の達人や名人がもっと
いてもよさそうなのに、あまりいな
いのはなぜ?と書いたのは、コラム
ニストの天野裕吉さん◆いわく、虚
礼的なものが多く、自分で考えないですむ
物ばかり贈っているから。もっと知恵をし
ぼろうよ。キャッチフレーズはこう。「で
いい」より「がいい」。ハムでいい、じゃ
なく、ハムがいい◆よく新聞の発言欄など
で「恩送り」という言葉を見かける。自分
が受けた恩を社会や次の世代に返して、送
りつないでいく。恩や親切のお裾分けのよ
うにも思える。「恩贈り」と書いてもいい
かもしれない◆被災地でボランティア活動
という人もいれば、地域の子ども食堂にカ
ンパしたり、手伝ったりという人もいる。
先月、神戸新聞の丹波版で読んだのは「足
ながシネマ」。チケット代を先払いして映
画館に預け、子どもたちに映画を見る機会
をプレゼント◆私は温かい食事がいい、私
は面白い映画がいい。いずれも送りての大
人が子供たちのことを考えた贈り物だ。
お返しは楽しい思い出とともに、次の世代
へ送ってくれたらいいよ◆親切をすれば脳
が活性化され、老化を遅らせるという記事
を読む。それはさておき、贈り物の達人や
名人がそこにも、ここにも 2024・2・10