個別表示

神戸新聞正平調書き写し 2023年12月13日(水)

  経営者であれスポーツ選手であれ、物事をとことん極める人は、最後にゴミ拾いに行き着く。小さな喫茶店を一代で全国チェーンのカレー店に育てた宗次(むねつぐ)徳二さんは本社周辺の掃除が日課だった。「掃除は感謝です」と語っている◆スポーツ界でごみ拾いを大切にしている人といえば大谷翔平選手である。米大リーグでも試合や練習の合間にグラウンドに落ちているごみを拾う姿がたびたび話題になり、その自然な物腰に米メディアが驚いた◆これは一朝一夕にはできない。原点は高校1年の時書いた「目標達成シート」にある。シートは中心に「夢」を置き、夢を実現するための具体的な取り組みを周囲の81マスに書く。高校生の大谷選手は「運」を引き寄せる要素に「ごみ拾い」と書いた◆なぜ?と問われたときの答えがいい。「人が捨てた運を、拾っている」。花巻東高校時代の恩師、佐々木博監督の教えという◆こんなエピソードを知れば、プロスポーツ界最高額、10年で1015億円という移籍金にも浮き足だってはいないだろう。「オオタニサン」のドジャーズ入りが決まった◆ちなみに、シートのほかのマス目は「あいさつ」「部屋そうじ」「道具を大切に使う」…。大スターにしてこの実直さ。凡事徹底が一番難しい。 2023・12・13  



- Web Diary Professional ver 2.28 -