個別表示

神戸新聞、正平調書き写し 2023年12月31日(日)

  幼い頃、書初めの半紙や新聞を踏もうものなら祖母から容赦なくピシャとたたかれた。紙くらい。と思っていたが、作家陳舜臣さんの作品で「惜字紙」(せきじし)と言う言葉を知り、合点がいった◆文字を記した紙を敬い、粗末にしないという風習が中国、台湾、沖縄で見られるという。不要になった紙は、惜字炉という特別な焼却炉で燃やす。明治生まれの祖母にも、そんな風習が染みついていたのだろう◆しかし、この1、2年で紙が急速にその地位を失いつつある。どこの家にもあった新聞の普及率は低迷し、書籍も電子化が進む。来年からは電子帳簿保存法により帳簿類が、紙から電子に大きくシフトしそうだ◆学校も紙の教科書からタブレットに。重い端末をランドセルに入れて登下校する児童は、気の毒としか言いようがない、紙の健康保険証に至っては、隔世の感すらある。政府は、現行の健康保険証を来年12月に廃止し、マイナンバーカードと一本化する◆コロナ禍が時の流れを一気に速めた。ものすごい激流である。溺れそうになったり、流れに乗ることを諦めたくなったりする◆今年は生成AI(人工知能)が市民生活に根を伸ばした。さて次なる進歩は?新しい時代は怖くもあり、楽しみでもある。皆さま、よいお年を。 2023・12・31  



- Web Diary Professional ver 2.28 -